◆◆クラフト史・頼 空陀◆◆


    

   〜全国ツアー〜 
     

 
 ヒット曲を持てたことによりクラフトのコンサート活動も忙しさを増して行った。
この時期、同じ音楽事務所に所属していた『グレープ』(佐田まさし、吉田政美)、
やまがたすみこ、そしてクラフトは全国をコンサートで廻ることになる。

 三者が一緒に演奏する『カーペンターズ・メドレー』や『日本のフォークメドレー』、
そして各々がオリジナルを演奏する部分があり、一つのパッケージとして構成されたステージだった。
 この頃よりクラフトのMC 担当森谷のいわゆる“しゃべり”がクラフトのひとつのカラーになって行く。
デビュー当時の初期はまともなMC もなく、ぶっきらぼうにステージを進めていたクラフトだったが、
森谷の加入によりもっと聴衆を意識しエンターテインメントに徹する進行を心がけるようになって行ったのである。
この時期よりクラフトのステージスタイルが定まって来、森谷の流暢な司会進行振りに、
曲間の話の面白さということでも、固定ファンが次第に増えて行ったようである。

 そしてもうひとつ。この時期のクラフトの特徴はというと、ドラムの松藤の存在である。
彼はメンバーになるや否や、いきなりシングル盤のB 面のリードヴォーカルを任されたのである。
“さだまさし”作のその曲『鳳仙花』はご存知『僕にまかせてください』のB 面。今風に言えば“カップリング”。
松藤の初々しい!?歌声は、その妖精的!?な風貌と相まって、独特の雰囲気を作ったのである。
こうして松藤は本人の好むと好まざるとに関わり無く!
クラフトのファンにとっては“アイドル”!?的存在になって行くのである。