◆◆クラフト史・頼 空陀◆◆


    

   〜クラフト最後のシングル盤〜  
     

         
 
 1978年2月、クラフト最後のシングル盤となる『振り向いてみたけれど』がリリースされた。
この曲は濱田金吾の作詞作曲。濱田が初めてシングル盤のヴォーカルを担当した作品である。
金吾のハスキーヴォイスが、このバラード曲の魅力を十分に引き出している。
もともと自作自演の作品なので、金吾の声質がピッタリはまっている感がある。
クラフトのシングル盤の中には、バラード曲もあったのでは?と思う方もいるかも知れないが、
実はこの曲『振り向いてみたけれど』が初めてなのである。

この作品について、筆者が取材した時に、濱田はこう語っている。
*『振り向いてみたけれど』のこと・・・・
   「ハイ・ファイ・セットのステージを舞台袖で聴く機会が多く、パフォーマンスを含めて大ファンになりました。
   曲を書かせて欲しいなどと言えるはずも無く密かに山本潤子さんをイメージにつくった曲でした。女性言葉もそのためです。
   自分(CRAFT)が歌う事を想定したら曲は全く違う物になっていたと思います。
   そして、後々に願いが叶い『バーボン・トリップ』という曲をハイ・ファイ・セットにレコーディングして頂きました。どれほど嬉しかったか!
   『振り向いてみたけれど』…まさか歌の苦手な自分が歌うことになるとは・・・
   皮肉にもCRAFT解散後に自分の歌でアルバムを何枚も出すなど考えもしませんでした。
   今でも自分のために曲を書くのが苦手です。」(濱田金吾談)。

 はじめて“女性”が主人公になった曲は、こういういきさつがあったようだ。
クラフト復活ライブでも、必ず演奏されるこの曲は、濱田のクラフト時代の代表曲である