◆◆クラフト史・頼 空陀◆◆


    

   〜MATSUの夢見たおとぎ列車〜 
     

           
 
 クラフト6枚目のシングルは、ドラム担当の松藤作詞、三井作曲の『エンドレス・レイルウェイ』(1977年)になった。
前作『言問橋』は、いわゆるフォーク路線の曲であったが、
やっぱりポップス路線でもう一回チャレンジしようじゃないか!という話になり、出来上がった曲だった。
B 面は森谷&濱田作詞、濱田作曲の『急げメキシコ』。
どちらの曲も本来のクラフトの持ち味であった“ウェストコースト風サウンド”のカラッとした明るさ、
爽やかさ、を兼ね備えた佳曲に仕上がっている。

 この、実に松藤らしい詞はどうやって生まれたのだろうか?
後日、松藤はこう語っている。『“エンドレス・レイルウェイ”の詩は、新緑がきれいな頃に、西武園(埼玉県所沢市)に行って、
遊覧列車みたいなものに乗ったときに、な〜んとなくイメージが湧いて来て、一気に出来たんですよ!』
….いかにも、松藤らしい発想である。

 そしてこの詩にメロディがつけられて『エンドレス・レイルウェイ』は完成した。
クラフトの爽やかなコーラス、そして“サビ”のファルセット・ヴォイスが特徴のこの曲は、
クラフトのポップな音楽面を代表する曲となったが、如何せん!?商業的には今ひとつ成功とまでは行かなかった。

 復活ライブ(2013年現在)が始まったクラフトだが、
この曲のメインヴォーカルの三井は、最近メンバーに次のような感想を漏らしたらしい。
『この歳になって、この曲をステージで唄ってみると、なんだか、“こそばゆい”気がして仕方がない。
ほんとは松藤が唄って欲しいんだけど?』…まあ、半分冗談ではあるのだろうが、
20代に唄っていた、あの頃の感覚を取り戻すのは難しい年齢に達してしまったということであろうか?.

 筆者は“恋の歌”はどんな歌詞であろうが、年齢には関係ないと思いたいのだが….!?いかが?