◆◆クラフト史・頼 空陀◆◆


    

   〜美少年?異聞〜  
     

         
 
 話はずいぶん前に戻る。この話は『クラフト史』とは直接関係のないことだが、
ちょっとおかしなエピソードがあるので紹介する。
それは松藤がクラフトに参加することが決まってすぐのことである。
松藤の郷里は福岡県大牟田市、三井は熊本、二人は夏休みに各々里帰りをしていた。
東京へは同じ列車で戻ろうと二人は約束して、三井は熊本から、松藤は大牟田から、
隣り合わせの座席を予約して一路博多へと向かった。
当時、三井を小さい頃からとても可愛がってくれていた叔母さん夫妻が、熊本から転勤して博多在住であった。
数年間会っていなかったので、叔母は少しだけでも会いたいと伝えてきていた。
それではと、『何日何時何分の上京列車で博多に停車するので、博多のホームで待っていて下さい。
数分間の停車時に窓越しにでも会えれば』と三井は叔母に伝えておいた。

 博多駅のホームで無事再会出来たが、どうも叔母の様子がおかしい。というよりなぜかよそよそしい感じを三井は受けたようだ。
数分の停車なのでゆっくり話す事もできず、そのまま列車は博多駅を離れたのである。
 後日、判明したことだが、どうやら叔母は松藤を女性だと思っていたらしい。
三井はちゃんと新しいクラフトのメンバーだと紹介をしたのだが、なにせ慌ただしい再会であった。
松藤はこの頃髪を肩まで長く延ばしており、前髪も眉が隠れるくらいのオカッパスタイルだったので、女性だと勘違いしたのは仕方ないが、
なんと三井の叔母は“結婚相手”!!だと思ったらしい。
“懇意にしている私には、一言の相談も無く、東京からフィアンセ!?をつれて来て両親に会わせたのだろう”と思ったらしい。
道理でその時の叔母は怪訝な形相だったようだ。その後、この誤解はすぐに解けるが、
さほどにこの頃の松藤は可愛かったらしい!!?『そういえば…』と後日三井は思い出していた。
あの、博多のホームでは松藤は一言も言葉を発せず、ただ三井の横の席で!
例のあの人懐っこ〜い笑顔!?でひたすらニコニコと愛嬌!?を振りまいていたのであった。

 そんな松藤の書いた“おとぎ列車”の詞….それが次なるクラフトの新曲『エンドレス・レイルウェイ』になるのである。